『私と彼女の7ヶ月 その1
〜一枚の画(え)を作るために、私たちがやったこと〜』の続きです。
「私の作るものは価値がない」
そういう思い込みを壊して
自分の言葉で語り、自分を思いを伝えていくことを選んだ渡辺さん
この1年のやりとりを振り返り、記します。
「きれいな人だな。こういう人に、展示会やるときに撮影のモデルをやってもらいたいな」
はじめて渡辺さんを見たときの私の印象はそういうものでした。すうっとした透明感が印象に残る人。独特の雰囲気をお持ちの方です。
「知り合いがやってるアパレルの、モデルをやってたことが、少しあります。」
そう聞いて、納得しました。
さらに
「昔、役者をやっていたんです」
…なるほど!
さらに納得です。
だからこう、なんだか一種、文学的な雰囲気があるのね。自分の趣味がはっきりしていて意思が強そうだし。静かに主張する個性的なファッションと靴がぺたんこなのも、好みだな。
そんな風に思いました。
プログラム開始してすぐは、おっかなびっくり
自分の表現のトビラを、ゆっくり開けてみるところから、渡辺さんの世界観づくりはスタートしました。
私と彼女の7ヶ月。その2
一歩ずつ、ゆっくりと
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1. 表現したいイメージを
引き出すために
2.人によって最適なペースは違う
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||表現したいイメージを
引き出すために
写真でもデザインでも、クライアントさんのために何かを制作するには、クライアントさんの中にの「表現したいもの」が明確であること。これは必須です。
私たちクリエイターの「作品」ではなく、クライアントさんのアイデンティティを表現するためのものですから。ご自分の世界観を設計し、ひと言で言い表せるようになっていただかないといけません。
では具体的になにをしてもらうのかというと...私からの宿題に、回答してもらい、それをもとにセッションを進めます。
私から質問したり、その答えからさらにキーワードとなりそうな言葉を抽出し言葉を手掛かりにクライアントさんの世界観の深いところに触れていきます。
忘れてしまった(事にしている)ことや、気づいていない大切なもの・ことを拾い上げて
それを言葉にする。
そうしてまた自分を探求していくために深層心理に潜っていく。表層心理と深層心理を行き来して、自分らしさを追求していく工程です。
何往復か繰り返すうちに、その方の価値観や絶対に外してはいけないポイントというのがはっきりとしてきます。
事前にもらっていた情報と、自分の認識の差異が無いようにの確認のための時間だった。
(1回目セッションのご感想)
世界観とは自分が見ている世界をなんとかしてカタチにすることかなとぼんやり認識していたが、 ハッキリと「非言語のコミュニケーション」と聞いた時に納得がいったし、 あさえさんの世界観の解釈がぼんやりからスッキリになった瞬間は気持ちが良かった。 最終的にそのスッキリにたどり着くんだろうなあとゴール設定も見えた。
規模の大小に関わらず、自分のエネルギーのためにも、ブランドの世界観を決めることは大事なんだなと思う。 また、特に大きな軸を決めずに気の向くままヨガを行ってきたが、 長年続いている事を考えると何か伝えたい根っこがあるから持続していることも考えられる。 それがこれからぼろぼろ出てくる事を考えると 恥ずかしいような…もっと出さなきゃ… のような役者をやっていたときの作業に似ていて自分自身と世の中へ提示するための擦り合わせ作業は楽しい。
||人によって最適なペースは違う
どれくらいのペースで進めるのか、それはクライアントさんの現在の状態やご事情に応じて変わってきます。早い人の場合は、全行程を50日程度で進める場合もありますが、渡辺さんはパラレルワークなこともあり、月に1回のペースで進めていきました。
そしてもうひとつ。
ゆっくりと進んだほうが良い、と判断した理由は別にもありました。
渡辺さん自身が、言葉をはじめさまざまな「表現」に対して敏感で、誠実な方だからです。
自分のこの表現は、他者に誤解を生まないか?
それは自分に嘘がないか?
これは借り物の表現になっていないだろうか
そういったことを丁寧に、現在地と向かう先を確認しながら進めていくことが必要だと感じました。
ハイペースでどんどんボールを投げ込み渡していく、というよりは
一緒に、散歩するくらいの気軽さを感じてもらいながらひとつひとつ、丁寧に進めること。深刻にならないことも大切でした。
その都度都度で、「違和感はありませんか?」
「あちらに向かっています。進めて大丈夫ですか?」と行き先を確認して、あくまでご本人に選んでいただくことが大事だと感じていました。
そう思うに至ったのは
渡辺さんは過去に、深く傷ついたことがあったからです。大好きな表現すること、を通して。他者から投げつけられた言葉によって。
そのできごとがきっかけに、自分を表現するということを自分に禁じてしまっていたのです。さらに、信用することがすこーし苦手になっていたのです。
他人のことも、自分のことも。
もともと表現することは彼女の一部でした。
歌ったり 絵を描いたり、音楽を聴いたり、アートに触れることが日常で育った、それだけに
とっても大切なことを、長い間封印してきたんだなあということが、2回目のセッションを終えた時、私には手に取るように分かったのです。
だから、私がやるべきことは
歩き出すために、心を緩ませてさしあげることでした。
ステージをささっとこしらえてぼん!と壇上に乗せてあげるのではなく、自分で階段を昇ってもらうためには、「今も傷ついている」ということを、自覚してもらうことが必要だったのです。
そういう自分をちゃんと自覚したうえで自分を癒し、封印した表現のトビラを自分の手で開けてもらうこと...。
そのためのお手伝い、ファーストステップとして、まずは。安心してアウトプットしてもらうことにしました。
それは、ステージを変える時に必ず訪れる恐怖感を、私が知っているからです。
怖さを無視しては、前に進むことはできなかったから。つどつど、めんどくさいけど自分の心に向き合ってきました。時に初めて個展をやって作品を販売する時は、本当に怖かったです。
自分発信でビジネスをする。
世の中に『私はこれをやります』って自分の世界を見せていく。
これって
前に誰もいない。
矢面に自分が立つ、ということで
慣れないうちはすごく、怖いんですよね。
過去に、表現した見返りが誰からの痛烈な言葉だったなら、なおさらでしょう。
誰かから批判されるんじゃないか
って無意識に怯えたり
自分はどうしようもなく価値がないかもしれないって感じてる人を
無理にひっぺがすようにスポットライトの下へ連れて行ったら、危険なこともあるから。自分が癒されていない状態で、表面だけ綺麗につくろった写真を渡しても気持がついていけず、見た目と内面のギャップに苛まれてしまうことは目に見えています。
だから、一緒に呼吸をするように、渡辺さんのペースを尊重し一定の立ち位置をキープして、心理的に安全な距離を保つこと。
それを大切に進めました。
踏み込みすぎたら、壊れてしまうかもしれない
そんな繊細さを感じ取ったからです。
そして、その判断は正解だったなと いま振り返ると思います。
これらの宿題は何度かやったことがあったが、具体的にそれをどのようにアウトプット、 展開をしていけばいいのかは確かに知らなかったし、わからなかった。現状でできる限りの言葉を捻出した結果、ある程度の説得力はあるもののまだまだ混沌としている。
(2回目セッションのご感想より)
曖昧でも、善悪も混沌もそのままにしておいていいんじゃない?
と言われるたびに安心を得ていた事から、 以前こんなことを口にするたびに指摘されたり、否定されたりして、 「私の考えは考えてはいいけど、声に出してはならないもの」 だと周りに言われ続けていたんだなと実感。
だからこそ、会話ではなく、表現として芸術(絵や音楽や芝居)に憧れたり、創作したい意欲があるんだとも思う。
階段を昇るためにはまず、安心できることが必要です。
一歩ずつ、自分を確認していく時間。私たちはゆっくりと、散歩するように、意識の奥を探る旅を続けていきました。
(『私と彼女の7ヶ月-3 表現する楽しさを思い出す』に続く)
『私と彼女の7ヶ月-1 一枚の画(え)を作るために、私たちがやったこと』
『私と彼女の7ヶ月 番外編 がっつり丸一日!撮影ウラ話』
。。。。。。
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