世界観コンセプトを作ったら
何がいいの?
と、とてもシンプルな質問をいただきました。
昨年末に、これから起業したい方や新しいサービスを始める方へ向けて、世界観コンセプトを6ヶ月で作るプログラムを始めたのですが
それは、私がこれまで20年以上デザイン制作をしてきたなかで、クライアント様に『コンセプト』を明示して頂くことがとても大切だったからです。
名刺だろうとWebサイトだろうと、
『コンセプト』がないとデザイナーはじめクリエイターは何を起点に制作したらいいのか分からないのです。
ロゴデザインでも
Webサイトでも
プロフィール写真でも
なにかを作るとき、あなたの求めているイメージを形にしたかったら、クリエイターには世界観コンセプトをきちんと伝えて投げないといけません。
ぜったいに。
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...と、そうは聞いても、やっぱりピンと来ないな、っていうのが正直なお気持ちではないでしょうか。
その回答になればと思い、以前わたしが主催したイベントを例にご説明しますね。
<<世界観コンセプトの設計で
手に入る3つのメリット>>
1.言葉にせずとも印象に残せる
2.あなたのブランディング力
3.あなたの世界観に共感し、
協力してくれる人
手に入るもの
1.言葉にせずとも印象に残せる
数年前、自分の作品発表の場として『うつつの狭間』というバックブランドを立ち上げました。自分でデザインして、縫製職人さんに縫ってもらっています。
これまで5回展示会をやってきて、その都度、必要なブランディング・デザインはすべて自分で手がけてきました。
こちらは2018年のイベントロゴ。
この時の世界観コンセプトは
「浮遊感」「透明感」
「やったことのない領域を楽しむ」
私がデザインしたバックの受注販売会なのですが、商品開発とギャラリーを探すところから、一人でスタートしてます。
相談できる人や、コネはありません。
以下、本番当日と広報に使用した写真です。
メインのスケルトンバックに合わせて、ポーチや雑貨などを販売。コンセプトに沿った商品を、友人クリエイターにも出品してもらって品数を揃えました。
一連の写真をご覧になって、
なにかお気づきになることはないでしょうか。
.....そう
すべての写真から、『統一感』を
感じられることと思います。
これは、偶然じゃありません。
そういうふうに、展示会の企画段階から
設計しています。
商品の色づかい・素材
広報に使うことば
ディスプレイ
パッケージデザイン
BGM
スタッフの当日の服装まで
できるところは全て管理して、見た人に、言葉がなくとも「私が与えたい印象を与えられるように」仕組んだのです。
それが世界観コンセプトの設計です。
手に入るもの
2.あなたのブランディング力
パッケージやBGMに至るまで、世界観の演出には、すみずみまで気を配っています。
たとえば、このアクリルのサイン。
人によっては、木材や紙で作るかもしれないです。イメージが他の商品などとそぐわず、重くなりますね。すると、そのたったひとつのアイテムから、世界観にほころびが出てきてしまう、というのは、なんとなくお分かり頂けるのではないでしょうか。
コンセプトにしっかりと『透明感・浮遊感・非日常』とうたったから、私自身が制作するときに、迷う事なくアクリルを選ぶことができました。
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あなたがフリーランスを目指したり、イベントを開催しようとしているとしたら
必ず、販促物を作りますよね?
印刷物を作らずとも、ウェブサイト制作やオンラインでの発信は必須でしょう。
それらを、ご自身で全て手がけることって、おそらく、あまりないと思うのです。どなたか専門の人に、なにか外注しますよね。
その時、なんて言って説明しますか。
ウェブデザイナー、グラフィックデザイナー、ライターやフォトグラファー一人ひとりに、同じことを言って回れるでしょうか。
書面でまとまっていたら、説明がラクだと思いませんか?
ビジュアルと言葉で、きちんと自分のイメージの方向性を伝えて、舵取りをしましょう。
もし、それらが定められていなかったなら。
元来、クリエイターというのは表現するのが好きな種類の人間ですから
ほっといたら、好き勝手に作りますよ。自分のいいように解釈して。(だってそれが好きなんですから)
あなたの意図とはぜんぜん違う方向に、表現されてしまう可能性だって多いにあるんです。
そのために、世界観コンセプトをきちんと設計して、クリエイターにわかりやすく伝えましょうというのが、私からのご提案です。
世界観のすみずみまで気を配ることで、あなたのブランディングは徐々に厚み・深さを得ていくのです。
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手に入るもの
3.あなたの世界観に共感し、
協力してくれる人
このイベントの時「やったことのない領域を楽しむ」というコンセプトに沿って、ちょっと冒険だったのが
友人のシナリオで朗読劇を入れたことです。
ひとりの絵本作家のスクランブル交差点での
不思議な物語でした。
上演時間20分の作品を5日間で3回、上演しました。演出家・役者さんのご友人やギャラリーの常連さんなど、たくさんの方がおみえになり、毎回20名の定員はほぼ満席になりました。
人に協力してもらうには、明確に「何をしたいのか」「どこに行きたいのか」などの方向性を示す必要があります。
関わる人ぼぼ全員に、ブランドとこのイベント、それぞれの世界観資料を公開して説明しました。
結果、ふだん私ひとりの作品で開催するイベントにお越しにならないような層の方も足を運んでくださり、ご感想を頂くことができました。
こんなふうに
たくさんの人がイベントの開催には関わります。規模によりますが、人に関わってもらうと、自分の専門外のことも展開できるようになるんだって、大きな経験だったのです。
ご家庭や本業のお仕事をお持ちの方へ
そしてもうひとつのご提案があります。
これを読んで下さっているあなたが、どんな方かは存じませんが
もしかしたら、ご家庭や本業のお仕事をお持ちかもしれません。
日々の子育てやお仕事のタスクに追われていらして、やりたいことがあるけどそんな時間はないな、とお思いになっているかもしれませんね。
でも…
参考になれば幸いです。私は娘が二人おりまして、夫は時短勤務などない会社員です。この展示会は本業と家事・子育ての傍にやっています。いつかはこれで食べていけたらいいですけど、今はまだ、半分趣味です。
クライアント様からいただく仕事を最優先に手がけ、隙間に展示会の企画を練ります。ほっとんど、隙間時間の利用です。だからこそ、明確なコンセプトが活きるんです。
協力してくれた仲間たちも、同じくです。一部上場企業にフルタイムで勤めていたり、フリーランスでひっぱりだこのCGクリエイターなどが、本業とは別の領域で関わってくれていました。
皆んなでしょっちゅう顔を合わせられないし、やりたいことに迷ってるほど時間かけられないから、何かぱぱっと決められる“ものさし”が必要です。
実際、私はこの朗読劇に関してはほぼノータッチ、丸投げでした。出品する商品の生産管理に追われて、ストーリーを知らなかったんです。
はじめて脚本の全文を知ったのは、本番3日前。
でも、私が実現したい世界観コンセプトは担当者に書類やビジュアルを通して説明してあったので、心配はしていなかったんです。
大事なことをきっちり伝えて、あとは任せる。という方針で乗り切りました。
朗読劇、というのでただ座ってセリフを言うのかと思いきや…
効果音あり、台から飛び降りたりと、役者さん3人も使った、本格的に演出された作品でした。
自分のブランド名「うつつの狭間」がセリフに入っていて、感動したのを覚えています。
当日に何色の服を着るのか
スタッフ全員に、プロジェクトリーダーとして『NGカラーとOKカラー』伝えました。
全員が表現者ですから、身に着けるものにはこだわりがあるはずです。そこまで指示をされるのは、もしかしたら面白くなかったかもしれません。
それでも、いちばん大切なことはスタッフに好かれることより、イメージを具現化し展示会を成功させることだったから伝えました。
『面白いことをやった経歴』、それが彼女達へ手渡せる私からのギャランティだからです。その結果が、下の写真には詰まっています。
正直、実際どうなるのかなって、不安もいっぱいだったので
この1枚を見た時、泣きそうになりました。
....やれること全部、やり切ったなあ!って、思えたからです。
本気になれば、副業だって隙間だって、
ここまでできるんです。
できますよ。
できます。
自分がやりたいか、やりたくないかの世界です。どうするか決めるのは、
あなたのお気持ちひとつ、です。
頭のなかのイメージを実現させていきたいと思ったら。そのために世界観コンセプトの設計は、必須なのです。
ご一緒に、作っていきませんか。
そのお手伝いを、
私にさせていただきたいと思っています。
長くなりましたが
最後まで読んでくださり、
ありがとうございます。
あなたのお話、
こんなふうに自分を表現したい
メッセージを発信したいんだっていう構想
聞かせていただけるのを楽しみにしています。
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* azroom Exhibition * VOL.5
午 後 に 青 く 浮 か ぶ
2018. 6.22(金) 〜6.25(月)
会場:gallery kissa
主催:azroom遠藤朝恵
協力:高畑真澄(雑貨制作)・asami(ディスプレイ)
撮影:Noriyuki Sato
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オリジナル朗読劇 「ダイブ」
安達菜都:岡本美紅・安江有希(出演)
豊丸利恵(脚本)
けちゃ(演出)